『2026本格ミステリ・ベスト10』に選ばれた小説を紹介します!
『本格ミステリ・ベスト10』は、1997年より続く、探偵小説研究会が毎年発行している推理小説のランキング本です。毎年12月に、その年の優れた推理小説を発表しています。興味がある方は単行本も購入してみてください。
『2026本格ミステリ・ベスト10』作品一覧
| 順位 | 書籍 | タイトル・著者 |
|---|---|---|
| 1位 |
タイトル:『神の光』 著者:北山 猛邦 |
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| 2位 |
タイトル:『夜と霧の誘拐』 著者:笠井 潔 |
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| 3位 |
タイトル:『失われた貌』 著者:櫻田 智也 |
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| 4位 |
タイトル:『抹殺ゴスゴッズ』 著者:飛鳥部 勝則 |
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| 5位 |
タイトル:『最後のあいさつ』 著者:阿津川 辰海 |
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| 6位 |
タイトル:『スカーフェイク』 著者:霞 流一 |
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| 7位 |
タイトル:『白魔の檻』 著者:山口 未桜 |
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| 8位 |
タイトル:『名探偵再び』 著者:潮谷 験 |
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| 9位 |
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タイトル:『崑崙奴』 著者:古泉 迦十 |
| 10位 |
タイトル:『探偵小石は恋しない』 著者:森 バジル |
1位『神の光』北山 猛邦
1位に選ばれたのは、消失トリック5編を収めた短編集『神の光』です。『このミステリーがすごい! 2026年版』では7位を獲得しています。
一攫千金を夢見て忍び込んだ砂漠の街にある高レートカジノで、見事大金を得たジョージ。誰にも見咎められずにカジノを抜け出し、盗んだバイクで逃げだす。途中、バイクの調子が悪くなり、調整するために寄った小屋で休むが、翌朝外へ出ると、カジノがあった砂漠の街は一夜のうちに跡形もなく消えていた──第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に選ばれた表題作を始め、奇跡の如き消失劇を5編収録。稀代のトリックメーカー・北山猛邦の新たな代表作となる、傑作推理短編集。
砂漠の中でカジノが消える、夢のなかで館が消える。さまざまな時代・場所で起きた奇妙な謎を解き明かすストーリーになっています。
作品は発表順に収録されており、巻頭の「一九四一年のモーゼル」は20年以上も前の2004年に書かれた作品とのことです。
2位『夜と霧の誘拐』笠井潔
2位は、矢吹駆シリーズ第8作『夜と霧の誘拐』です。2025年4月16日に講談社より発行された長編本格ミステリーで、全672ページの大作。『このミステリーがすごい!2026年版』では2位にランクインしていました。
1978年の秋、矢吹駆とナディアは“三重密室事件”の記憶を持つダッソー家での晩餐会に招待され、アイヒマン裁判の傍聴記で知られるユダヤ人女性哲学者と議論する。
晩餐会の夜、運転手の娘・サラがダッソー家の一人娘・ソフィーと間違えて誘拐される。さらに身代金の運搬役に指名されたのはナディアだった。
同夜、カトリック系私立校の聖ジュヌヴィエーヴ学院で女性学院長の射殺体が発見された。
「誘拐」と「殺人」。混迷する二つの事件を繋ぐ驚愕の真実を矢吹駆が射抜く。
矢吹駆シリーズの特徴は、実在する哲学者や思想家をモデルにした登場人物と、矢吹駆の「思想対決」。今作は、ナチス戦犯を裁いた公開法廷「アイヒマン裁判」の傍聴記で知られるユダヤ人女性哲学者、ハンナ・アーレントをモデルとした人物が登場します。
『哲学者の密室』の“悲劇”再び 矢吹駆シリーズ最新作! 間違われた誘拐 連鎖する誘拐 前人未到、永久不滅の誘拐ミステリ 1978年の秋、矢吹駆とナディアは“三重密室事件”の記憶を持つダッソー家での晩餐会に招待され、アイヒマン裁判の傍聴記で知られるユダヤ人女性哲学者と議論する。 晩餐会の夜、運転手の娘・サラがダッソー家の一人娘・ソフィーと間違えて誘拐される。さらに身代金の運搬役に指名されたのはナディアだった。 同夜、カトリック系私立校の聖ジュヌヴィエーヴ学院で女性学院長の射殺体が発見された。 「誘拐」と「殺人」。混迷する二つの事件を繋ぐ驚愕の真実を矢吹駆が射抜く。
3位『失われた貌』櫻田智也
3位は、櫻田智也による初の長編小説『失われた貌』。探偵役に刑事を配したハードボイルド×本格ミステリーです。
山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対応が不十分だという投書がなされた直後、上層部がピリピリしている最中の出来事だった。
事件報道後、生活安全課に一人の小学生男子が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。
間を置かず新たな殺人事件の発生が判明し、それを切っ掛けに最初の死体の身元も判明。それは、男の子の父親ではなかった。顔を潰された死体は前科のある探偵で、依頼人の弱みを握っては脅迫を繰り返し、恨みを買っていた男だった。
無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。
身元不明の死体が見つかるという、ミステリーではありがちな話から始まりますが、さまざまな話題が絡み合う、複雑なストーリーに発展。その構成は評価が高く、『このミステリーがすごい! 2026年版』『週刊文春ミステリーベスト10 2025』『ミステリが読みたい! 2026年版』で1位、3冠を達成しています。
「このミステリーがすごい! 2026年版」(宝島社)国内編1位! 「週刊文春ミステリーベスト10 2025」(週刊文春2025年12月11日号)国内部門1位! 「ミステリが読みたい! 2026年版」(ハヤカワミステリマガジン2026年1月号) 国内篇1位! 周到に張られた伏線 閃きを導く手がかり 最後に裏返る真実 本を閉じた後に意味合いを変えるタイトル ミステリに求めるすべてがここにある これぞ、至高! 山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対応が不十分だという投書がなされた直後、上層部がピリピリしている最中の出来事だった。 事件報道後、生活安全課に一人の小学生男子が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。 間を置かず新たな殺人事件の発生が判明し、それを切っ掛けに最初の死体の身元も判明。それは、男の子の父親ではなかった。顔を潰された死体は前科のある探偵で、依頼人の弱みを握っては脅迫を繰り返し、恨みを買っていた男だった。 無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める。 『蝉かえる』で日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞をW受賞した新鋭の書き下ろし最新刊は、初の長編にして、警察もの!
4位『抹殺ゴスゴッズ』飛鳥部勝則
4位は、まともな登場人物が出てこないと噂の『抹殺ゴスゴッズ』。著者にとって2010年の『黒と愛』以来、15年ぶりの長編作品です。
ゴッドが好きな高校生の詩郎が出逢った、自分が空想で創ったはずの神の正体とは……? 地元の名士が殺害され、脅迫していたという謎の怪人・蠱毒王とは何者か……? 二つの迷宮的な事件が複雑怪奇に絡み合い、恐ろしいカタストロフィが待ち受ける本格超大作!
本書は子供の事件(令和編)と親の事件(平成編)が交互に展開し、進んでいくユニークな構成。
著者インタビューでは、「本作は、一つのジャンルではなくて、ミステリーあり、ホラーあり、あるいは冒険、ハードボイルド、ひょっとしたらユーモアなども入ってくる、そういったジャンルミックスした1本の作品として書きました」と語っています。
5位『最後のあいさつ』阿津川辰海
5位は、阿津川辰海『最後のあいさつ』。本作は、30年前の殺人事件の真実を、ノンフィクション作家の取材を通じて解明していく、という話です。
30年前の国民的刑事ドラマ『左右田警部補』。
最終回目前に、主演俳優・雪宗衛が妻殺しの容疑で逮捕され、打ち切りとなる。
「日本で最も有名な刑事」の逮捕劇に日本中が熱狂する中、雪宗は緊急記者会見を開き、役柄さながらに真犯人の正体を暴く“推理”を披露する。
雪宗は無罪を勝ち取るも、世間の目は厳しく疑惑は完全には晴れなかった。
そして現在、同様の手口の殺人事件が起こり、ノンフィクション作家の風見は、雪宗の真実を追って関係者の取材を開始する。
放送されなかった幻の最終回「最後のあいさつ」に隠された秘密とは?
タイトル「最後のあいさつ」は、『警部補・古畑任三郎』の第一シーズン最終話のタイトルから取ったとのこと。
著者は小説丸のインタビューで「中学生ぐらいの頃に摂取していた刑事ドラマの体験を、咀嚼し直して自分なりの味つけにして提供する、ということを全力でやってみたんです」と語っていました。
中学生の頃から傾倒してきた刑事ドラマへの愛を全力で注ぎ込んだ作品になったようです。
30年前の国民的刑事ドラマ『左右田警部補』。 最終回目前に、主演俳優・雪宗衛が妻殺しの容疑で逮捕され、打ち切りとなる。 「日本で最も有名な刑事」の逮捕劇に日本中が熱狂する中、雪宗は緊急記者会見を開き、役柄さながらに真犯人の正体を暴く“推理”を披露する。 雪宗は無罪を勝ち取るも、世間の目は厳しく疑惑は完全には晴れなかった。 そして現在、同様の手口の殺人事件が起こり、ノンフィクション作家の風見は、雪宗の真実を追って関係者の取材を開始する。 放送されなかった幻の最終回「最後のあいさつ」に隠された秘密とは?
6位『スカーフェイク』霞流一
6位の『スカーフェイク』は、大物の密室殺人に次々と「自称真犯人」たちが登場する「連続自首事件」と、そのトリックを次々と論破する探偵が登場する、特殊設定ミステリです。
抗争渦巻く港町で発見されたある有名人の死体が暗黒街を揺るがした。名を上げようと次々と自白する「犯人」たち。これをことごとく論破する探偵。何かが転倒している「特殊設定ミステリ」にして「連続自白推理」の書き下ろし本格ミステリ!
独特な価値観が支配する「特殊設定」にして「逆多重解決」の極み―― もちろんそれだけじゃない「霞」イリュージョンはここからはじまる 暗黒街の大物の密室殺人に次々と「真犯人」が名乗りを上げる「連続自首事件」。 連打されるトリックの自白は、探偵の前に撃破され尽くされるが…… …………………………………………………………………………………………………………………… 「自称・真犯人たちはどうやって哲を殺害したか、その方法、つまり、独自の密室トリックをそれぞれ主張しているらしい。果たして、いずれのトリックが真相なのか? それも看破せねばならない。つくづく難儀なことだ」 苦々しげにそう言って二重顎を撫でた。それから、一拍の間をおいて、顔を亀のように伸ばし、 「その難儀なこと、それが邪無吾、お前さんへの依頼というわけだ。プロに任せたい。話によるとこの手のことが得意だそうじゃないか」 …………………………………………………………………………………………………………………… 抗争渦巻く港町で発見されたある有名人の死体が暗黒街を揺るがした。名を上げようと次々と自白する「犯人」たち。これをことごとく論破する探偵。何かが転倒している「特殊設定ミステリ」にして「連続自白推理」の書き下ろし本格ミステリ!
7位『白魔の檻』山口未桜
7位にランクインした『白魔の檻』は、2025年本屋大賞ノミネートの『禁忌の子』を執筆した山口未桜の最新作でありシリーズ第2弾。霧と有毒ガスに閉ざされた山奥の病院で起る、不可能犯罪と、医療従事者たちを描いた作品です。
研修医の春田は実習のため北海道へ行くことになり、過疎地医療協力で派遣される城崎と、温泉湖の近くにある山奥の病院へと向かう。ところが二人が辿り着いた直後、病院一帯は濃霧に覆われて誰も出入りができない状況になってしまう。そんな中、院内で病院スタッフが変死体となって発見される。さらに翌朝に発生した大地震の影響で、病院の周囲には硫化水素ガスが流れ込んでしまう。そして、霧とガスにより孤立した病院で不可能犯罪が発生して──。過疎地医療の現実と、災害下で患者を守り共に生き抜こうとする医療従事者たちの極限を描いた本格ミステリ。2025年本屋大賞ノミネートの『禁忌の子』に連なる、シリーズ第2弾。
前作となる『禁忌の子』(2024年10月11発売)は、『このミステリーがすごい! 2026年版』国内3位に選ばれています。
霧と有毒ガスに 閉ざされた病院で発生する 不可能犯罪 2025年本屋大賞ノミネートの 『禁忌の子』に連なる、シリーズ第2弾 研修医の春田は実習のため北海道へ行くことになり、過疎地医療協力で派遣される城崎と、温泉湖の近くにある山奥の病院へと向かう。ところが二人が辿り着いた直後、病院一帯は濃霧に覆われて誰も出入りができない状況になってしまう。そんな中、院内で病院スタッフが変死体となって発見される。さらに翌朝に発生した大地震の影響で、病院の周囲には硫化水素ガスが流れ込んでしまう。そして、霧とガスにより孤立した病院で不可能犯罪が発生して──。過疎地医療の現実と、災害下で患者を守り共に生き抜こうとする医療従事者たちの極限を描いた本格ミステリ。2025年本屋大賞ノミネートの『禁忌の子』に連なる、シリーズ第2弾。
8位『名探偵再び』潮谷験
8位は、潮谷験の『名探偵再び』。本作は、学園の名探偵だった大叔母のおかげで有名女学園に入学した俗物的な主人公が、学園内で起きる複数の事件に翻弄される「学園ミステリー」です。
私立雷辺(らいへん)女学園に入学した時夜翔(ときやしょう)には、学園の名探偵だった大叔母がいた。数々の難事件を解決し、警察からも助言を求められた存在だったが30年前、学園の悪を裏で操っていた理事長・Mと対決し、ともに雷辺の滝に落ちて亡くなってしまった……。
悪意が去ったあとの学園に入学し、このままちやほやされて学園生活を送れると目論んでいた翔の元へ、事件解明の依頼が舞い込んだ。どうやってこのピンチを切り抜けるのか!?
読者の感想では、主人公のキャラが良い、いい意味で図太い性格など、キャラクターに愛着をもつ感想がたくさんありました。どんな物語なのか気になりますね。
9位『崑崙奴』古泉迦十
9位にランクインしたのは、第17回メフィスト賞を受賞し、2000年に『火蛾』で講談社ノベルスからデビューした、古泉迦十の24年ぶりの小説です。
大唐帝国の帝都・長安で生ずる、奇怪な連続殺人。
屍体は腹を十文字に切り裂かれ、臓腑が抜き去られていた。
犯人は屍体の心肝を啖(く)っているのではーー。
崑崙奴ーー奴隷でありながら神仙譚の仙者を連想させる異相の童子により、捜査線は何時しか道教思想の深奥へと導かれ、目眩めく夢幻の如き真実が顕現するーー!
今作がデビュー2作目。唐の長安が舞台という、これまでの選出作品と一風変わったミステリー小説になっています。
『崑崙奴』
10位『探偵小石は恋しない』森バジル
10位にランクインしたのは、森バジルの『探偵小石は恋しない』。色恋案件ばかりが持ち込まれる探偵事務所の代表が主人公の、連作形式の物語です。
小石探偵事務所の代表でミステリオタクの小石は、名探偵のように華麗に事件を解決する日を夢見ている。だが実際は9割9分が不倫や浮気の調査依頼で、推理案件の依頼は一向にこない。小石がそれでも調査をこなすのは、実はある理由から色恋調査が「病的に得意」だから。相変わらず色恋案件ばかり、かと思いきや、相談員の蓮杖と小石が意外な真相を目の当たりにする裏で、思いもよらない事件が進行していて──。
帯に「絶対に事前情報なしでお読みください」と記載され、読者から「だまされた!」という感想が続々と寄せられています。
2025年12月8日に開催された「MRC大賞2025」では1位に選ばれました。

