『廃遊園地の殺人』
著者:斜線堂有紀
出版社:実業之日本社
発売日:2024/10/4
ページ数:368ページ
廃墟、遊園地、クローズドサークル。ミステリーでは(個人的)最高潮にテンションの上がる、定番のわくわくシチュエーションが詰まった本格ミステリー『廃遊園地の殺人』。著者は『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビューした斜線堂有紀です。
クローズドサークル好きにはたまらないシチュエーションと、謎のうさぎの表紙に思わず手が伸び、気が付いたら2日で読破していました。
『廃遊園地の殺人』あらすじ
プレオープン中に起きた銃撃事件のせいで閉演となったテーマパーク・イリュジオンランド。
廃墟マニアのコンビニ店員である主人公は、とある理由でその廃墟を訪れた。
集まったのは廃墟マニアの小説家や雑誌編集長、OLなど計10人。
そこで伝えられたのは、『このイリュジオンランドは、宝を見つけたものに譲る』という廃墟コレクターの資産家・十嶋庵(としまいおり)からの伝言。
しかし翌朝、串刺しになった血まみれの着ぐるみ死体が見つかる──。
2024年に単行本からの全面リライトを経た文庫本が出版されています。大きく改稿されており、内容は同じものの、文章はほとんど変更。実質的にほぼ書き直しになったようです。
著者はこれまで、特殊設定ミステリなど、ファンタジーに近いミステリー小説を書いてきました。しかし今作では、本格ミステリに挑戦したとのこと。実日オンラインの取材では、以下のように語っています。
「去年、『楽園とは探偵の不在なり』で特殊設定ミステリを書いたので、今年はそうでないもので、かつ自分の好きなものを詰め込んだミステリを書こうと思い立った」
『廃遊園地の殺人』感想
まず印象に残ったのは、表紙を開いてすぐに現れる付録です。カラーで描かれた、物語の舞台となるイリュジオンランドの園内マップ、チケット料金、アトラクション一覧、そしてマスコットキャラクターのギャニーちゃん。
しっかりとした舞台設定が、本当にこんな遊園地があるんだと、想像を掻き立てます。ここで何が起こるの?どうして廃墟になるの?と、ページをめくる前から想像力を強く刺激され、一気に世界観へ引き込まれました。
次に惹かれたのは廃遊園地というシチュエーション。いい感じに現実とファンタジーが混ざりあった空気が、非日常感を加速させます。二度と活気づくことはない失われた夢の国(しかも銃乱射事件で複数人が死んでいる)に、因縁を抱えた招待客が招かれ、宝探し。なんだそれ。
主人公は掴みどころのない人物ですが、その曖昧さが物語とよく噛み合っています。淡々とした視点で事件を見せてくれるため、ストレスなく読み進めることができました。他の登場人物も、物語の進行に合わせて少しずつ輪郭が明らかになっていき、その過程が心地よい。
最後に、おそらくもっとも私を引き付けたのが、展開の速さです。中だるみを感じさせず、テンポよく物語が進んでいきます。展開が遅いために積読へまわしてしまうことが良くあるのですが、『廃遊園地の殺人』は、序盤から一気に引き込まれ、気づけば最後まで読み切っていました。
ここまで一気読みした小説は久々です。物語の構成が良いんだろうなあ。
ただ1点。登場人物の名前、読めない(笑)
あとがきで「読みづらさを指摘された登場人物の名前を変えた」とあり、これで改善していたのか…と思いました。(最近海外ファンタジーばかり読んでいる私の漢字能力が落ちているのかもしれない)
廃墟探偵シリーズ第2弾はいつ?
あとがきに2025年続刊との内容があったのですが、年が明けても発売されていませんね。いつになるのかな。
続きが楽しみです。
この記事で紹介した本
『廃遊園地の殺人』
著者:斜線堂有紀
出版社:実業之日本社
発売日:2024/10/4
ページ数:368ページ
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内容
失われた夢の国へようこそ
巨大すぎるクローズドサークルで連続殺人発生!?
衝撃の全編リライト! 待望の文庫化!!
銃乱射事件で閉鎖された遊園地・イリュジオンランドへ、廃墟コレクターの資産家・十嶋庵が二十年ぶりに人々を招く。廃墟マニアの元コンビニ店員・眞上永太郎をはじめとした招待客が、廃園の所有権を賭けた宝探しに挑戦する最中、串刺しになった血まみれの着ぐるみが見つかり……。驚愕の廃墟×本格ミステリ長編! 文庫版あとがき収録。

